化学的なニオイ成分を嗅ぐことによって、嗅覚がすぐれた猫さんが体調不良になる「香害(こうがい)」が報告されています。
ここでは、「香害」と「香害」を引き起こさないようにいしまる家で使用中の無香料やにおいがやさしめの「洗剤」などを紹介します。
洗剤は、食器洗い洗剤、食洗機用洗剤、ハンドソープ、洗濯用洗剤、ボディソープ、シャンプー・コンディショナーについてふれています。
■ 香害って、何?
「香害(こうがい)」は、さまざまなものに含まれる「合成香料」によって引き起こされる体調不良のことで、「化学物質過敏症」のひとつとしても知られています。
普通に販売されている洗剤・柔軟剤、化粧品や芳香剤、消臭剤など様々なものに「合成香料」が使用されています。その中でもとくに「マイクロカプセル」と呼ばれるようなニオイが長時間続くタイプのものによって、健康被害が生じやすいと言われています。
「香害」で通勤や通学の途中で他者の「ニオイ」によって会社や学校に通えなくなるような事態が起きています。
→ 日経ダイヤモンドオンラインの2018年の記事「柔軟剤のニオイで不調に、退職まで…「香害」という新たな公害」や「日本の「香害被害者」は推定約1000万人、“先進国”米国を追う」
■ 猫にも「香害」はある!
「CLINIC NOTE 2019年3月号 (特集:猫の疾患 総まとめ:後編)」の「●CASE.REPORT 高残香性柔軟剤・消臭除菌スプレー・家庭用洗浄剤による伴侶動物の健康被害 執筆:小宮みぎわ(キャットクリニック) 監修:岡本芳晴(鳥取大学)」にもありますが、猫や犬も「香害」を引き起こす合成香料が原因と思われる体調不良が報告されています。
猫のにおいを感じ取る部分の面積は人間の10倍程度あり、嗅細胞の数は5倍程度あることが分かっています。単純な比較はできませんが、猫は人間よりも嗅覚がすぐれ、においを気にする動物だろうなと容易に想像が付くかと思います。
そんな嗅覚のすぐれた猫の鼻の粘膜などにさきほど出てきたニオイが長時間続く「マイクロカプセル」などが、ついて長時間ニオイにさらされるために体調不良が起きているそうです。体調不良としては、元気がない、吐く、食欲不振、解毒作用のある肝臓などにも影響があるそうです。
■ 猫製品も「香害」を引き起こすものが普通に販売されている
猫製品で「香料」が足されている猫砂やペットシーツ、消臭剤などを使用することで、猫さんに体調不良が起きやすくなります。
猫さんの体調不良を防ぐために、まず、「香料」を含まない商品を選ぶようにしましょう。
使っているご家庭が多いですが、「猫砂」で「におい付き」のものは猫さんに悪影響を与える可能性が高いです。においの成分の無いもの(=「香料」の記載がないもの、「無香料」)を選ぶようにしてください。
× におい付きの猫砂の例:ライオン (LION) ニオイをとる砂 猫砂 フローラルソープ
○ 無香料の猫砂の例:ライオン (LION) ニオイをとる砂 猫砂
「原材料」を拡大して比較すると、同じ「ニオイをとる砂」でも「フローラルソープの香り」のほうだけ「香料」と入っています。
いしまる家で愛用中の「アイリスオーヤマ 猫砂 ウッディフレッシュ 」は、原材料が木・ベントナイト・抗菌剤で、香りについては「無臭」と記載しています。日常的に使っている限り、「合成香料」のような嫌なニオイはしません。いわゆるベントナイトの砂っぽいニオイはします。
また、「猫砂のレビュー2[追求編]」でふれているようなおからやトウモロコシなど食べ物由来の猫砂は独特のニオイがしますが、自然由来のものですので身体への影響はほとんど無いかと思います。
自然には存在しなかった、または、そこまで多くなかった化学物質が、人間や猫の体に入ってしまったときにいろいろな悪影響がでていて問題になっています。
■ 人間が使うものも、猫にやさしいものを選びたい
人間が日常的に使うものの中に「香料」を含むものがたくさん販売されています。できる限り「香料」が少ないか「無香料」のものを使いたいものです。
いしまる家でニオイの観点で選んで、使用している洗剤などを紹介します。
洗剤は、食器洗い洗剤、食洗機用洗剤、ハンドソープ、洗濯用洗剤、ボディソープ、シャンプー・コンディショナーについてふれています。
■ 食器用洗剤(中性洗剤):ヤシノミ洗剤 野菜 ・ 食器用
「ヤシノミ洗剤 野菜 ・ 食器用」は「無香料・無着色」が特徴で、植物原料の「ヤシ油」を使用し、手肌にやさしい洗剤とのこと。
使用感として、ニオイがほとんど無く、汚れも気にならない程度にちゃんと落ちます。いしまる家ではヤシノミ洗剤の専用の容器ではなく、過去の洗剤容器を洗って詰め替え「サラヤ ヤシノミ洗剤 野菜・食器用 つめかえ用 1500mL」を入れてそのまま使い続けています。専用の容器は大きめです。
猫トイレの丸洗い掃除でも、この「ヤシノミ洗剤 野菜 ・ 食器用」を使っています。
■ 食洗機用洗剤(粉タイプ):食器洗い乾燥機専用洗剤 HOTAPICA
「ホタパ 食器洗い乾燥機専用洗剤 HOTAPICA 」はサラサラした粉状で、ホタテの貝殻を焼いて砕いた「貝殻焼成カルシウム」が主成分です。消臭効果もあるそうです。
卓上の食洗機で「ホタパ 食器洗い乾燥機専用洗剤 HOTAPICA 」を使っていますが、使用感としては汚れもほどほどに落ちてくれています。製品そのものはソーダ?のような微かなにおいはしますが、嫌なにおいではないです。
猫さんのごはん用器は「tak キッズディッシュ ボウル スタンダードM 子ども用ボウル」と「tak キッズディッシュ ボウル スタンダードS」を重ねて使っています。
猫さん用ごはんの器は食洗機で洗うことが多いので、結果的に「ホタパ 食器洗い乾燥機専用洗剤 HOTAPICA 」を使って洗っていることになります。ホタテの貝殻が主成分なので、万が一、口にしてしまっても体への影響が少ない洗剤です。
現在使用している卓上食洗機は「パナソニック 食器洗い乾燥機 プチ食洗 ホワイト」(うちのはNP-TCR1で、現在はNP-TCR4)ですが、
パナソニックは卓上の食洗機で工事不要タイプ「パナソニック 食器洗い乾燥機 食洗機 工事不要 スリムサイズ タンク式 ホワイト NP-TSP1-W」(2021年11月15日発売予定)を出すようです。賃貸でも使えそうですね。
■ ハンドソープ(液体泡タイプ):無添加せっけん泡のハンドソープ
「MIYOSHI 無添加せっけん泡のハンドソープ350mL」は、香料・着色料・防腐剤無添加の泡ででてくるハンドソープです。こちらも「パーム油(ヤシ油)」由来で、敏感肌でも使えるそうです。
使用感として、ごく一般的な泡のハンドソープと同じように泡立ち、汚れも落ちます。においはいわゆる昔ながらの「石けん」のにおいです。
手のにおいは、猫さんたちと暮らす上ではとても大切だと私は考えています。
猫さんたちをさわる時、猫さんがにおいを嗅いでなめてくれる時など、直接接触します。猫さんたちは毛づくろいをして体をなめるので、猫さんの体に有害物質を付けてしまっては困ります。ハンドソープもできるだけにおいが少なく、猫さんの体にやさしいものを使いたいですね。
■ 洗濯用洗剤(固形→液体):ホタパ WHITE タブレット衣類用洗剤 → サラヤ SARAYA ヤシノミ 洗たく洗剤 濃縮タイプ へ
洗濯用洗剤は、ホタテの貝殻由来の「ホタパ WHITE タブレット衣類用洗剤」を使用していました。固形のタブレットなので、冬になると若干溶けにくいというのはありましたが、使用感に問題は無いと思い使い続けていましたが・・・
家族の洗濯物がひどく汚れる(主に油汚れなど)ことが増え、ホタパでは汚れ落ちが物足りなくなったようで、家族の者が普通の洗剤「アタック ゼロ 洗濯洗剤ワンハンドプッシュ」を買ってきて使うようになりました。
「微香」とうたう商品で原材料にも「香料」とは入っておらず、それなりにニオイには配慮してくれたようですし、自分の汚れがひどいものだけ洗うのにその洗剤を使っていたのですが、それでも使ってみるとニオイがきつすぎて、同じ洗濯機で使うホタパで洗う洗濯物にもニオイがつくようになってしまい、どうにかしなければと考えました。
そこでたどり着いたのが「サラヤ SARAYA ヤシノミ 洗たく洗剤 濃縮タイプ」です。販売しているコンビニもあり、手に入りやすい商品かと思います。使用感としては、普通の洗剤に近い感覚で使えています。液体ですし、汚れ落ちも問題ないです。
こちらも詰め替え「サラヤ SARAYA ヤシノミ 洗たく洗剤 濃縮タイプ 大容量 5kg 無添加」がありますので、購入しておきました。
■ ボディソープ:SOC薬用柿渋ボディソープ ※再検討中
「柿渋」は昔ながらの塗料でも使われるもので、殺菌作用などがあることが知られています。本来の「柿渋」はニオイがきついものですが、ニオイが気にならない関連商品が売られるようになりました。たとえば、「ターナー色彩 無臭柿渋 500ml ES500W22」は木材の撥水作用を上げることができる自然塗料ですので、以前住んでいた家では使用していました。
SOC薬用柿渋ボディソープは、「柿渋エキス」と「緑茶エキス」の2つでニオイがすっきりというのがウリだそうです。
使用感としては普通のボディソープに近い感じで「香料」も使われているため、ニオイという観点では納得していないので、再検討中となりました。柿渋のニオイなどを消すのに香料を使っているのかなと勝手に解釈しています。
「無添加せっけん泡のボディソープ」などに交換することになりそうです。
■ シャンプー・コンディショナー:キュレル シャンプー +キュレル コンディショナー
シャンプーとコンディショナーほど「香料」がふんだんに使われているものはないと日々感じています。
髪の毛への影響とニオイの観点から、現時点では手に入りやすいキュレル シャンプー +キュレル コンディショナーを使用しています。無香料・弱酸性・無着色とうたっていますが、シャンプーはミントのようなすっきり系のにおいで、コンディショナーはソーダのような弱いにおいです。
通っている美容室で使用中の「ジョンマスターオーガニックヘア」は、名前の通りオーガニック素材を原料とした安心のもので、良いかおりで自然素材なので嫌な感じは無いものの、それでもやはりニオイが強いと感じます。
美容師さんに聞いたところ、ジョンマスターオーガニックで「無臭」のシャンプー・コンディショナーもあるそうですが、それはニオイに影響を受ける時期の妊婦さん用でかなり特殊なんだとか。
過去に「無添加せっけん シャンプー」+「無添加 せっけんシャンプー専用リンス」を使ったことがあるのですが、そのやり方が独特で挫折しました。
せっけんシャンプーを使うと弱アルカリ性の石けんで弱酸性の髪がきしむので、弱酸性に戻すためにリンスをします。そのリンスが独特で、お湯でリンスを薄めてその液体を髪に浸けてしばらく待ってから流すといったことをします。当時は猫さんもおらずそこまで「香料」を気にする必要も無かったので、このやり方は私にはあまりにストイックすぎるので普通の物に戻しました。
みよしの商品を眺めていると、一般的なやり方で使える「無添加泡のせっけんシャンプー」と「ミヨシ石鹸 弱酸性 せっけん用リンス」が出たようですね。リンスの注意書きに「本品は薄めて使うリンスではありません」と書いてあります。もとの使い方を知らないと、どういう意味かなと思いそうですね。
「香害」のことと、ニオイに配慮した洗剤などをみてきました。日用づかいのものなのでコスト感も大事だと思っています。今後もいろいろと良さそうなモノを試していきたいと思っています。
いしまる家の例ですが、ご参考になることがあれば幸いです。
猫との住まいで参考になる、著書『猫と住まいの解剖図鑑』(エクスナレッジ)を、ぜひ、ご覧ください。